「AKF」の導入範囲は,本庁に限らず出先機関も含めたすべての部署としますが,その理由はいくつかあります。
1. すべての部署に導入する理由
情報公開制度では,開示請求者の利便を考慮して保有行政文書の帳簿である「文書目録」を作成しますが,これにはファイル基準表を充てるのが普通です。ですから,すべての部署のファイル基準表を用意しておくことが求められます。
なお,平成23年4月に施行された公文書管理法のガイドラインでは,職員一人ひとりに文書の整理が義務付けられました。また,「文書目録」としての役割を担う「行政文書ファイル管理簿」は,「国の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が利用し得る」(法第1条)ための必要不可欠なツールとして,同時に,職員が適正かつ効率的に業務を行うための管理ツールとして位置付けられました。自治体の文書の取扱いについては,「文書取扱規程」に基づいて行われるはずですので,すべての部署で同じような文書管理がされている必要があります。
出先機関においても,職員がいつまでも同じ部署に配属されているとは限りません。人事異動によって本庁に異動したときに,「AKF」を全く知らないというのでは困ります。やはり,出先機関の職員を含めすべての職員が「AKF」を理解している必要があります。
2. 庁舎内に同居している一部事務組合の扱い
自治体によっては,他の自治体との一部事務組合を持っており,その事務局が庁舎の一角を占めている場合があると思います。一部事務組合は,制度的には異なる組織体になり,予算も独立していますが,よほど大きな組織でなく可能な範囲であれば,その自治体が導入する際に一緒に「AKF」の導入を図るとよいでしょう。
一部事務組合には自治体の職員が派遣されている場合も多いですし,庁舎内に同居している場合には,庁舎の一角だけ執務環境が改善されずに残ってしまう結果にもなりかねないからです。
予算面での区別については,容器・用具は文書主管課と歩調を合わせて購入し,一部事務組合の予算で支払うようにします。コンサルタントとの委託契約は,コンサルタントの了承が得られれば,別途契約とせず,自治体の契約に含めることにします。
3. 例外として除外される部署
一般に,小・中学校などは,「AKF」の対象から除外しているところが多いようです。しかし,情報公開の推進を視野に収めるとき,いつまでもこのままでよいとは思えません。
ただ,自治体の「公の施設」,例えば,野球場,屋内プールなどの施設で,「AKF」の対象となる文書がほとんどなかったり,施設を指定管理者制度に移行していたりする場合には,「AKF」の対象部署としなくてもよいと思います。