容器の種類と選び方

Q3:ファイルボックスを使用したファイリングについて説明してください。

バーティカルファイリングの一種の簡便法で,個別フォルダを収納する容器として,ファイリングキャビネットを使う代わりに,ファイルボックス(紙製などの箱)を使う方法があります。

ファイリングシステムを導入する際に,ファイリングキャビネットを購入せずに,従来の保管庫をそのまま利用し,ファイルボックスを並べるという方法は,確かに安上がりであり,簡便で素人受けする方法だと言えます。事実,外から見るとファイルボックスが整然と並んでおり,いかにも文書が整とんされたイメージを与え,切換え前との違いは素人目にもあざやかです。

しかし,ファイリングシステムの目標である即時検索性の確保や維持管理の継続性,そして文書の出し入れというハンドリングの点などからも検証する必要があると思います。ファイルボックスでは,個別フォルダに書いたタイトルを,ボックスの側面にも再度書かねばならず,二度手間になります。それに,何しろ個別フォルダを取り出すにしろ戻すにしろ,いちいちボックスを引きずり出さなくてはなりません。

また,ファイルボックスは,目線の高さまで棚に並べ収納効率を高めることができます。しかし,ボックス内に文書でなく物を入れるのは論外としても,それに入れる個別フォルダの量は,ある程度余裕を見て収納されるのが普通ですから,無駄なスペースが各ボックスごとにできてしまいます。このような収納効率の是非のほかに,災害対策上,背の高い棚を並べることの是非も検討すべきでしょう。

それに,ファイルボックスの導入を検討する際,大切なのは,容器としてあまりに手軽すぎ,その手軽さがむしろ弊害になって,職員に意識改革を求めるにはあまりにも与える改善インパクトが少なく,その結果ファイリングシステムが維持管理されにくい,ということをどう認識するかにあります。

ファイルボックスを採用する場合には,既に採用している自治体で導入後3~5年以上,維持管理している所を探し(あるいはファイルボックスを薦めるコンサルタントやオフィス家具メーカーに推せんしてもらうとよい),その管理状況をつぶさに調査することが重要です。

また,調査する際にファイリングシステムで大切なことは,導入して「見た目」がよくなることではなく,導入時に確保した即時検索型のファイリングシステムが崩れずに「維持管理」されているかということです。このことは,執務環境を見ることでもおおよその判断が付きます。

公文書管理に関するお問い合わせ

この記事に関するお問い合わせ、公文書管理・維持管理に関するお問い合わせを受け付けています。

よくある相談事例と回答例(FAQ)
無料相談 無料研修・セミナー
© 2017 ADMiC. All rights reserved.