1. どのような問題点を解決するのか
既に見たとおり,文書管理の改善導入が解決する問題点は,文書管理上の根本問題である文書の私物化と不要文書のはん濫につきるのですが,もう少し具体的にいうと次のとおりです。
- 担当者が席を外したり,休暇をとったりすると,文書が探せない。
- 事務室が文書や物ではん濫し,執務スペースが狭くなり,快適な執務環境を確保できない。
- 行政の情報化の実現に向けて,OA機器を拡充しようとしたが,要りそうにもない文書が執務スペースをふさいでいるので,設置場所が確保できない。
- 庁舎建設当初は広々していた庁舎内も,各課が間仕切り代わりに不統一な文書保管庫(キャビネット等)を積み上げた結果,こまぎれで見通しがきかなくなり,暗いばかりでなく防災上も危険な状況になっている。
- 庁内の通路に,文書が恒常的に保管されているため,通路が狭くなり,議会や消防署からも注意を受けている。
- 書庫が,保存期間が確定していない文書や物で,足の踏み入れる余地もないほど満杯になって倉庫と化しているため,とても保存文書を探せる状態ではない。
2. どのような効果があったのか
上にあげた問題点を解決することが,導入効果そのものです。私たちが実感している導入効果を,もう少し具体的にいうと次のとおりです。
- 他人でも文書が探せるようになった。担当者の出勤や外勤から帰ってくるのを待つまでもなく,他者検索ができるようになった。また,管理職も,取り出す気になれば,だれが作成した文書でも検索できるようになった。
- 事務室には利用度の高い文書が集まり,加えて従前よりも大幅に少なくなったので,速やかに文書が取り出せるようになった。一人当たりの事務室の保管文書保有量(ファイルメーター:Fm)が7~8Fmあったものが,1.2~1.5Fmになった。また,埼玉県のある市での文書検索時間は,平均15秒と大幅に短縮された。
- 適切な文書の分類を行ったことで,担当業務の整理ができ,仕事が目に見えるようになり頭の整理もできるようになった。また,仕事を効率的に行おうとするための創意工夫を担当者が自主的にするようになり,意識の改革が行われるようになった。
- 執務スペースが空き,OA機器の設置スペースばかりでなく,かねて懸案になっていた,図面を広げたり打合せを行ったりするテーブルが置けるようになった。
- 背の低い保管庫に統一され,庁舎内が広々と見通せるようになり,住民からも明るくきれいになったと評価を受けた。
3. ご参考までに
北海道ニセコ町長の片山健也氏から,以下のような感想が,NPO/ADMiCに寄せられました。