改善推進者の育成と確保の仕方

Q1:改善推進者(プロモータ)の心構えは,何ですか。

文書管理の改善を成功させるために,まず,改善推進者(プロモータ)を一人確保します。全庁的に推進者は一人いればよく,職位は担当主事であっても,主任・係長・課長補佐又は課長であっても構いません。ただ,文書管理改善に対する意欲があればよいのです。いうまでもなく,プロモータの存在は改善のために不可欠であり,その果たす役割は極めて重要です。

したがって,全庁的に「AKF」を導入する立案者であり,実行責任者であるプロモータには,次のような認識と心構えが求められます。

  1. 「大事業を行う」という自覚を持つとともに,「AKF」に関する知識と技術を習得して自信をつけておくことです。例えば,自身の机の周りにある文書を(あればの話ですが),ツミアゲ式で分類してみることです。そうすると,頭の整理と仕事の見える化ができ,結果として文書を速やかに(10秒程度で)取り出せて,本務が楽になることを実感できるからです。プロモータと同じ所属で,「AKF」の導入の一翼を担う同僚とともに,既にシステムを導入し,維持管理を続けている(少なくとも3年以上維持管理している)グレードの高い自治体の担当者の話を(できれば,導入時の担当者の話も)聞くことも参考になるでしょう。
  2. 「AKF」の導入が新規事業として認められ,実際の導入に取り掛かるまでには,必ずと言ってよいほど,いくつかの山を乗り越えなくてはなりません。その山は険しくて,苦しいものです。例えば,予算の査定や内示の段階でカットされてしまうことは十分考えられます。途中で挫折してしまったのでは,その先に進むことはできません。踏ん張り所では,プロモータの「AKF」導入に対する意欲が結果を左右することになります。そのようなとき,相談相手になってくれるのが視察先の文書管理担当者です。また,文書管理のシンクタンクであるNPO/ADMiCも,相談を無料で受け付けているので,メール又は電話で回答を求めてみるのも一つの方法です。
  3. 「AKF」の導入で大切なことは,その理論を構築することよりも,何よりも実務的なシステムを確立することです。文書を「いつでも,誰でも,サッと取り出せる」システムの構築を最優先にすることです。
  4. 職員に「やってもらう」という意識を忘れないことです。プロモータの対象は,「文書」という物ではなく,「職員」という人だと考えた方がよいでしょう。そのためには,職員へのPRとサービスに誠意を尽くすことです。「AKF」の導入には,職員の全員参加が必須だからです。求められる心構えとしては,「やってみせ 言って聞かせて させてみて 誉めてやらねば 人は動かじ」(山本五十六元帥語録),といったところでしょうか。
  5. プロモータの補佐をしてくれる人(ファイル責任者やファイル担当者)がうまく活躍できるように,サポートすることも大切です。むろん,選ぶときには,職位というよりは人物本位で選びます。
  6. 人事異動は,職員にとって避けられないものです。文書主管課の中で,第2のプロモータになるべき人材を育てておきましょう。日ごろから,十分に話し合い,だれでも「AKF」に関する助言ができるようにしておくことです。

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