維持管理の段階になっても,「AKF」に疑問を持っている職員はいるはずです。また,総論では賛成だが,各論では反対という姿勢の職員も少なくありません。
「AKF」がまだ十分理解されていない導入直後の時期は,バインダーやフラットファイルが残っていたり,ぶ厚い文書も分冊しないままになっていたりする場合も,ときには出てくるでしょう。これら扱いの難しい文書は,各課での仕事のやり方に合わせて独自に整理されてはいますが,「AKF」の本来のやり方からは外れていることがよくあります。それだけにそのような課では,文書や資料を分冊することを嫌う職員が出てきます。
また,どこの課というわけではありませんが,いつまでも「AKF」そのものを理解せず,徹底的な議論を交わすでもなく,納得のいかない状態のまま,陰で不平不満を愚痴っぽく言うばかりの職員もいます。これでは,何の解決にもなりません。思っていることを言わせることで,理解が早くなり一歩も二歩も前進するはずです。最近遭遇した事例ですが,導入後6年余り,コンサルタントによる維持管理の事前研修や実地指導を受けなかった職員もいました。組織的に導入・維持管理を決定している自治体での事例でしたが,上司の命令違反等服務上の問題にも絡むので,ここでは取り上げないことにします。
このような非協力職員への説得は,コンサルタントが得意としています。全面的にコンサルタントの力に頼る方が無難です。任せておいてよいでしょう。ただ,非協力職員の話は,事前に文書主管課からコンサルタントの耳に入れておきます。コンサルタントは,事前研修のときか,維持管理の実地指導のときに,その職員を傷付けることなく説得します。消極的になっている原因を探り出し,例えば,他の自治体ではどのように工夫しているか,使いにくければ元に戻してもよいから一度試験的にやってみてはどうかなどいろいろな角度から不安を取り除いたり,改善案を出してみたりしながら,最後には説得ししてしまうのです。
コンサルタントの指導を踏まえて,文書主管課の職員が担当課の職員と対話しながら,担当課にとってより良い方法を模索し,納得して維持管理に努めてもらうようにします。その場で理解を示してもらえない場合でも,時間をかけて取り組んでいくことです。ただ,あまり文書主管課が指導めいたことを言うと,かえって逆効果の場合もありますので,注意が必要です。