1. 事前研修のやり方
各課のファイル責任者及びファイル担当者を対象に,維持管理の重点目標と巡回実地指導の際のポイントについて研修を行います。この事前研修は,2時間程度のものです。
この研修では,維持管理作業の心構え,キャビネット内やカウンターの下などの整理方法,執務環境の整備について説明します。また,前回の巡回実地指導で多かった指摘事項についても具体的に解説をして,各課に改善してもらいます。
以前に受けた研修会で説明したことや,導入時の研修の際のテキストに書かれていることであっても,意外と知られていなかったり,解釈が誤っていたりするものです。そのような誤解を解いたり,維持管理に必要な知識と技術を伝達し,周知徹底することが目的です。
また,実地指導の重点はここにある,ということを徹底させるために「AKF」維持管理点検表を配布し,それに基づいて点検指導日までにどのようなことをしておけばよいのかを理解してもらいます。あらかじめ,事前研修のときに,各チェック項目について,自己採点してみると,巡回実地指導当日までに何をしておけばよいのか分かります。
なお,「AKF」維持管理点検表は,巡回実地指導日より前に,各課のファイル責任者とファイル担当者で自己評価をした上で課長の確認を受け,文書主管課へ提出してもらいます。
この事前研修の出席状況によって,各課の取り組む姿勢が伺えます。欠席者が多い課については,巡回実地指導日にコンサルタントから注意してもらうことも必要です。
2. 維持管理点検表
巡回実地指導の際に使う維持管理点検表は,「AKF」を維持管理する上で欠かすことのできない事項をまとめたものです。各課は,この表を基に自己評価を行った後に,巡回実地指導を受けます。
その点検表は,次のような大きな項目について文書主管課が作成します。
- 「AKF」に対して,組織として全員で取り組んでいる。
- 「AKF」の考え方が,課内に深く浸透している。
- キャビネットやフォルダを正しく使っている。
- 検索しやすい分類体系にし,基本的な方法を守っている。
- 執務環境を整え,文書の私物化や不要文書の氾濫を食い止めている。
これらの項目について具体的にチェックする事項が示されていますので,それぞれについて,実地指導の前に課員全員で改善を図ります。
その結果,具体的に個々のチェック項目については,○か×で自己評価します。大きな項目については,○と×の数で,
- A=特に優れている
- B=優れている
- C=普通
- D=整備の足りない部分あり
- E=未整備部分多い
の5段階で評価します。
コンサルタントは,各課の自己評価を基に,巡回実地指導を行い,その評価を,文書主管課に示します。
なお,導入直後と数年経過後では当然にレベルが違うので,評価の基準もそれに合わせて変わってきます。導入直後のころは基本的なことが多くなりますが,年が経過してレベルが上がっていけば,事務改善の見直しや総合行政情報システムの構築も視野に収めた高度なものになり,さらには,行財政改革に結び付きます。問題解決型の維持管理から目的志向型の維持管理へと進化するにつれて,当然,評価レベルも高くなるのです。