「ファイリングの日」などによる課内だけでの維持管理では,どうしても維持のレベルにバラつきが生じます。「ファイリングの日」を行わないという課が出てきた場合,そのような課が,隣接する課に影響を及ぼして,全庁的なレベルの低下を招くことにもなり兼ねません。そのため,新しく導入し構築した「AKF」が維持されているかどうか,各課を巡回しながら確認及び指導を行う必要があります。そのためには,文書主管課の職員だけでは,物理的に無理がありますので,文書管理委員会を設置して,委員会と文書主管課とが協働して維持管理に努めることになります。
文書管理委員会は,最終的には自主管理の主体になるのですが,自主管理のステージに入る前から設置しておく方が,維持管理を安定させます。文書管理委員会の設置には,次のような効果があるからです。
1. 「維持管理の主体」意識の育成
維持管理の段階に入ると,往々にして,職員は「維持管理されている」という「客体」意識になりがちです。しかし,AKFは,ツミアゲ式分類にしても,業務プロセス式水平分類作りにしても,全員参加の主体意識がなければ構築し維持できないのです。
文書管理委員会の委員が現場に入って,ともに職員どうしでより良い文書管理のかたちを作り出すというプロセスそのものが,維持管理に必要な職員の主体意識を高めることになります。
2. 自主管理の拙速の予防
維持管理のための巡回実地指導の際,文書管理委員はコンサルタントに同行するようにします。その同行を通して,自主管理の難しさを肌で感じるはずです。現状の維持管理のレベルを認識しながら,文書管理委員が,自主管理への拙速を抑制する機能を果たすことも少なくありません。
3. 実地指導のノウハウの蓄積
文書管理委員がコンサルタントの巡回実地指導に同行することによって,確認事項や指導方法等のノウハウを蓄積することになります。仮に,財政事情等によって維持管理の当初のスケジュールが急変し,自主管理の段階が早くなったとしても,いわば丸腰で敵地に放り出されるような事態は避けることができるのです。