事務室内の保管場所は「AKF」の導入により,次のように変わります。
1. 背の高い保管庫の廃止
自治体では,背の高さ180センチメートルの鋼製保管庫(3(サブ)×6(ロク)保管庫ともいう。)が大量に使われ,簿冊になった文書や文具などの用品が入っているはずです。この保管庫は,本来,隣の課との間には何もないはずの所に課を仕切るような形で,それぞれの課が背中合わせになって,配置されていることが多いようです。
「AKF」導入の際には,この背の高い保管庫を事務室内から撤去します。それは,「AKF」の導入によって,「5:3:2原則」が機能するからです。つまり,保有文書の5割が廃棄,3割が書庫,そして2割の文書が事務室で保管することになります。また,事務室に置いてある備品や消耗品等の約5割が私物や不用品なので廃棄になります。その結果,文書や物を入れる容器の大半は不要になるります。
廃棄する順序は,まずは3×6保管庫です。視界を狭くするばかりでなく,震災時に前後に倒れることが多いので,防災上の理由からも撤去する第一順位になります。したがって,どんな理由があっても,事務室内には残すことはできないと考えた方がよいでしょう。
次が,空いた背の高さが90センチメートルぐらいの3×3保管庫です。これらの廃棄は,事務室内の保管スペースを適正化するためです。収納スペースは,あればあるほどよいというものではありません。適正量に収納スペースを抑えることによって,未整理文書のたまり場をなくし,文書の私物化の条件を物理的に排除することになります。
2. 脇机・2段キャビネット・デスクアンダーラックの廃止
一般の職員は,片袖机を使用していることが多いと思いますが,机の横に脇机や2段のキャビネットを置いて文書を収納しているケースも多いようです。この保管スペースは,文書の私物化の原因になりますので,すべて「AKF」の導入時に撤去します。むろん,机の下のデスクアンダーラックも同様の理由で撤去します。
ここでも,事務室内の保管スペースの適正化が図られます。
3. ファイリングキャビネットの設置
これまでの文書保管容器に代わり,「AKF」の導入時に,文書保管のための専用容器として文書主管課からファイリングキャビネットが各課へ支給されます。この容器は,「AKF」における最も重要で必要不可欠なものですので,事務室内で,課の職員が最も使いやすい場所に集中配置します。配置される台数などは,文書主管課が一定の基準によって決めます。
4. 背の低い保管庫の限定使用
理論的には,ファイリングキャビネットが文書保管の唯一の容器と言えます。しかし,実務上では,簿冊のまま保管する文書もあります。そのような文書を保管するスペースとして,高さが90センチメートルぐらいの保管庫については,収納内容を特定することを条件にして使うことがあります。収納内容としては,簿冊形式の文書のほか,書籍,文具,ノートパソコンなどが考えられます。
5. カウンターの下の保管スペースの活用
自治体の事務室の場合,通路に沿ってカウンターが設置されており,その下に収納スペースが確保されているケースが多いと思います。
このスペースも背の低い保管庫と同様の使い方をしますが,利用しやすい場所ですので,文具類の置き場所にしたり,来庁者に手渡す申請書類の様式やパンフレットなどを収納したりするのに適しています。
6. 各課の事務室内の収納スペースの変化
「AKF」の導入によって,これまでに比べ,事務室内における保管スペースは,確実に減少し,適正化が図られます。ここまで徹底して保管スペースを減らすのは,あくまでも「文書の私物化」を防ぐためです。とかく置き場所があれば,必ずと言ってよいほど文書が入ります。これを物理的に不可能にするのです。妥協がシステムを空中分解させることを,これまで多くの自治体が証明しています。
限られた保管スペースを有効に使う手段こそ,各課の職員の知恵の出し所です。